10月26日の手記

公園で強い酎ハイを飲んでいる。

降雨。屋根が有難い。

屋根はお気に入りのスウェットを濡らさない。

 

 

オフィスの隣には小学校がある。オフィスの入り口の通路は喫煙所で、Wi-Fiが繋がるからそこのパイプ椅子に座って小学生を見ながら仕事をすることが多い。1日のうち2時間くらいは文字通り居座っている。

 

躍動する子供。駆動する四肢。元気よね。昼休みには人工芝の上で300人が奇声を上げながらボールを投げあったり、走り回っている。小さな生き物を見ると、活力が湧いてくる。

 

 

オフィスの同じ階には公文式が入っている。月曜と木曜だけ暖簾を出している。

 

俺は少しだけ月曜と木曜が好きだ。それは小学生たちが嫌々な顔、あるいは友達と元気いっぱい公文式に受講しに来るのを見られるからだ。

 

「こんにちはー!」

 

俺は表情一つ変えずにシャワーを浴びてない身体から子供たちに発声する。

 

「こんにちはー」

 

その多くは俺を一瞥すると足早にビルへ駆け込む。一部の子らは、無視をする。こんにちは、には、こんにちは、だろう。「これが都心の子供か」と半ば諦めを含んだ溜息を吐き、俺は旧式のMacに表示された原稿に再び目を落とす。

 

 

また、ビルの二つ隣には幼稚園も運営されている。

同い年くらいのお母さんは、夕方になると子を連れて帰路に着く。

 

「今日なに食べるー?」

 

そんなベタな会話をしながら、帰路に着く。これはまじ。20も30も年が離れると共通の話題ってそんなにない。

 

板橋に住んでいる孝仁は二人目が生まれたから、多分4人で眠ってるんだろうな、と思う。

上井草に住んでいる護はそろそろアメリカ出張から帰ってきて、一人娘との邂逅に喜んでいるんだろうか。

 

 

雨が強くなってきた。

公園で強い酎ハイを飲んでいる。